プライムタイムズ

ニュース、金融、経済、書籍、映画などをテーマに幅広く扱っていきます

人の評価と社内政治について


 人は好むと好まざるとにかかわらず、あらゆる場面で人を評価して、人から評価されている。人間には感情という機能があり、そこがロボットとは異なる優れた部分である一方、評価の曖昧さを生み出し、平等性を減少させる。そのため、人を評価するときは、一定の条件や基準を設けることが一般的だ。

 
 テクノロジーの発展により、恋愛市場では、実際に会うことなしにますます相手を条件で選択することが可能になっていて、様々なアプリが使われている。そこでは、学歴、年収、年齢などでフィルタリングすることによって、自分の条件に見合う相手を探しだすことができ、人間の感情が働くところは、顔写真くらいのものだろう。そしてマッチングしてはじめて、その相手と実際に会うことになる。また恋愛のみならず、一夜の相手や食事相手を見つけたければ、専用のアプリを使って、金額と顔写真を確認し、相手の同意さえあれば、あっという間に一緒に時間を過ごすことが可能だ。ここで重要になってくるのが、不特定多数の人が登録している情報について、どれほど信頼性が担保されているのかという点であろう。これについては、運営している会社が、情報のモニタリングに関して、どれだけ重要視しており、また資金をかけているかに依存される。少し前の時代ではまず互いに知り合うことがなかった層同士が、いまや手軽にSNSツールを使って、相手を相互に評価しあっている。もちろんマッチングするかどうかは別の話だけれど。こうして人と触れ合う機会の増加とともに、評価に対する選考は自動化が進んでいるのだ。

 
 さて、多くの人は会社に勤めてると思うけど、そこには常に社内政治が存在する。出世するためには上司や周囲の評価が必要で、数字だけで判断されることはまずない。このような世界では、どのような人物が評価されるのだろうか。言うまでもなく一番重要になってくるのが、アッパーマネジメントに評価される必要があることだ。これはどういうことかといえば、直属の上司をはじめとして、部署全体のマネジメントなど、自分より上位に位置する人たちから評価されないといけないということだ。次に重要になってくるのが、自分と同等レベルの人物からの評価だ。人間とは不思議なもので、自分ひとりで決定したことは、それが正しいのかどうか、誰かに確かめたくなる。そのとき、上の人間としては、自分と同等か、もしくは下の人間、すなわち評価する対象者と同等レベルの人物に確認するものだ。下の人間に聞く方が、より本音を聞き出しやすいし、何よりも自分に対しての態度との相違を知ることができる。そのため、周囲の同等レベルの人物からの評価も必要になるのだ。最後に必要になってくるのが、部下から信頼を得ることだが、これはその上司の力量による。なぜなら、その上司が自分だけの指示なり、視点だけを重視している人物であれば、部下からの信頼はまったく意味をなさなくなるからだ。(こういった上司の方が大半なのだろうけれど)


 いずれにせよ、自分のスタイルを確立することが大切だ。そしてスタイルを長期的に継続して、信頼を獲得する必要がある。どういうことかというと、例えば、常に上司の方向しか目を向けないのであれば、それを徹底的にやったほうがいい。上司に忠実に、そして下を叩いていれば、上には反抗しないやつという信頼が生まれる。逆に同等レベルの人間からの信頼を重視するならば、部署をまたいでネットワーク作りに精を出したほうがいい。裏を返せば、どっちを向いているか分からない人物は、陰で何をいってるかわからず、不信感を生み出す恐れがある。上に立つ人間というのは、仕事ができるかどうかは別として、空気の変化に敏感で、懐疑心が強いものだからだ。

 どのスタイルを選択するかは、当然ながらその人次第であるが、上司のみの評価に全力を注ぐということは、将来の上司の活躍に賭けるということに他ならない。それは二人の関係が永続する場合はいいが、転職するのが当たり前になった現代では、上司がいきなり転職するかもしれない。また、不透明な経済状況によって、部署ごと変革される可能性は高まってきている。他社からチームごと移ってきて、信頼していた上司が解雇されるかもしれない。そういう状況を考慮にいれると、上司だけに目を向けることは、短期的にはいいかもしれないが、中長期的な視点で考えたとき、それが正解なのかどうかはわからないのだ。もちろん本人がもし転職を視野にいれているのであれば、それでもいいかもしれないが、その会社でのキャリアパスを考えているのであれば、得策ではないのだ。

 現代は転職があたりまえの時代になってきたけれど、こと社内政治に限って言えば、同じ会社に長期間在籍するほうが有利に働く可能性が高い。企業の文化も、普通の社会と変わらず、信頼と裏切りが渦まいている。自分の気に食わない相手や派閥に圧力をかけるためには、それなりの年数が掛かるし、幅広いネットワークが必要になってくる。グローバル社会になってきている現代では、地域を横断して、そういったネットワークが必要になってくるし、時間がものをいうのだ。

 筆者は、血生臭い組織にいて思うのは、数字で勝負しなければいけないフィールドこそ、多種多様な社内政治が必要になってくるような気がする。結局一匹オオカミではいられないということだ。まったくサラリーマンはつらいよ。やだやだ